
「ほっともっと」とは、「ほっかほっか亭」を運営していた一部のフランチャイジー(運営権を与えられた会社)が独立することで発足した弁当チェーンです。
元々は同じ弁当チェーンですが、商標権の対立などでフランチャイザー側とフランチャイジー側が分離した形と言えます。
ANSWER
「ほっかほっか亭」から「ほっともっと」?



昔は「ほっかほっか亭」だった場所が、気づいたら「ほっともっと」になっていた、という経験がある方は多いのではないでしょうか?
どちらも有名な持ち帰りお弁当チェーン店ですが、名前も似ているし、兄弟店?と考えてしまいそうですね。
実はこの2つのお弁当屋さんには、フランチャイズという運営形態に端を発する複雑な関係があるのです。
ほっかほっか亭とは


まず最初に存在していたのは「ほっかほっか亭」の方です。
炊きたての御飯や作りたてのお惣菜を提供するという、今では当たり前になった弁当の販売方法を、オリジン弁当やかまどやが創業される前に始めていた、持ち帰りお弁当チェーンの草分け的存在と言えます。
埼玉県草加市に1号店を開店させた後に、70年代には株式会社化し、1981年には「株式会社ほっかほっか亭総本部」を設立します。
このほっかほっか亭総本部がフランチャイザーとなり、全国にフランチャイズ展開することにより、爆発的に店舗数を増やし、分裂前には直営店とフランチャイズ店を合わせて3000店を超える日本最大の弁当チェーンになりました。
フランチャイジーの対立・ほっともっとの誕生


ハークスレイとプレナスの対立
2000年代に入ると、主なフランチャイジーとして株式会社ハークスレイと株式会社プレナスがありました。
ハークスレイは主に北陸・関西・中国地方(山口以外)のフランチャイジーでした。
プレナスは本来は九州・山口地区のフランチャイジーでしたが、東日本を総括する「株式会社ほっかほっか亭」を吸収合併することで九州・山口・東日本を総括する巨大なフランチャイジーになりました。
フランチャイズ契約の関係上この2つのフランチャイジーよりは、ほっかほっか亭総本部の方が立場は上のはずですが、プレナスやハークスレイの影響力が徐々に高まり、プレナスが総本部の株の44%を取得します。
ハークスレイはこの動きに対抗する形で、総本部の株の54%を取得し、総本部を子会社にしてしまいました。
こうなると困るのがハークスレイと対抗していたプレナスです。
ほっかほっか亭とほっともっとの分裂
そしてプレナスと、ハークスレイの子会社になったほっかほっか亭総本部は、商標権や運営の方針を巡って対立、遂に2008年5月15日にプレナスはフランチャイズを離脱し、自らが運営する店舗を「ほっともっと」に変更する決断を下します。
九州と東日本という巨大なエリアを総括するプレナスの離脱によって、ほっかほっか亭の店舗数は3分の1になり、逆に3分の2を引き連れた「ほっともっと」はいきなり弁当業界2位のシェアになりました。
ほっかほっか亭は1位から3位に転落し、漁夫の利を得る形で「本家かまどや」が1位になりました。
そして「ほっともっと」は2009年には業界1位に上り詰め、下剋上を達成しました。
また、ほっかほっか亭総本部は2015年にはハークスレイに吸収合併される形で消滅し、ほっかほっか亭のフランチャイザーは完全にハークスレイになりました。
現在の両チェーンの店舗数・店舗分布


現在は、ほっともっとが2700店ほど、ほっかほっか亭が1000店ほどとなっています。
店舗分布は、ほっかほっか亭のフランチャイジー時代に、プレナスが九州・山口・東日本を、ハークスレイが九州山口以外の西日本を総括していた名残が大きく残っているようです。
プレナスが運営するほっともっとは東京に178件もあるのに対して、ハークスレイが運営するほっかほっか亭は東京では15件しかありません。
逆に大阪などの関西にはほっかほっか亭は非常に多く出店しています。
しかしほっともっとが関西で少ないと言うこともなく、分離後にも積極的に出店していったこともあり、全国各地に多くの店舗があります。
ほっともっととほっかほっか亭の現在の関係は?


この2つのチェーンは兄弟の様な関係でもありますが、運営会社はフランチャイジー時代から何度も対立し互いに訴訟をしあっています。
プレナスがハークスレイ傘下のほっかほっか亭総本部に商標権を主張して訴訟したり、ほっかほっか亭側がプレナスに対して「フランチャイズ契約における競業禁止」に違反したとして訴訟したりと頻繁に敵対しています。
まとめ



