
私達が「みかん」と呼ぶ品種は温州みかんといい、ミカン科ミカン属に所属しています。
オレンジ・ポンカン・いよかん・デコポンなどもミカン属でありますが、基本的には違う種類の果物です。
ANSWER
みかんの仲間って色々あるけど


「みかん」ってとても甘くて美味しいですよね。
じゃあみかんを買ってこようとスーパーや八百屋さんに行くと、みかんもありますが、それ以外の似たような柑橘系の果物も多いことに気が付きます。
思いつくだけでも「オレンジ」「ポンカン」「いよかん」「デコポン」「キンカン」など、様々な種類の類似品があります。
これらの色々なみかんの仲間ってそれぞれどういった違いがあるのでしょうか?
まず柑橘類とは何か


最初に「柑橘類(かんきつるい)」という言葉の意味についてまとめましょう。
柑橘類とは被子植物の中でも、ミカン科の中の主にミカン属(カンキツ属)・キンカン属・カラタチ属からなる群の総称です。
ここでいうミカン科やミカン属というのは、私達が考える「みかん」も含まれますが、意味合いが微妙に違いあくまでも大まかな分類名です。
例えば「レモン」はミカン科ミカン属レモン、「グレープフルーツ」はミカン科ミカン属グレープフルーツ、という分類になり、ミカン属と言っても様々な柑橘類が含まれます。
また柑橘類の中でも、有名な品種の大多数がミカン属に含まれており、キンカン属は4~6種のキンカン類しかなく、カラタチ属は食用とされる品種はありません。
そういったわけで、これから紹介する柑橘類も、キンカン以外は全てミカン属に含まれる種となっています。
みかんって具体的にどういう柑橘類?



これは実は日本原産の品種だよ。
みかんの特徴
それでは「みかん」という種はどういった柑橘類なのでしょうか?
私達が思い浮かべる「みかん」という柑橘類は、まず間違いなくミカン科ミカン属の「温州蜜柑(ウンシュウミカン)」です。
日本には「有田みかん」や「西宇和みかん」など様々なブランドのみかんがありますが、その殆どが温州蜜柑です。
皮も向きやすく、大きさも手頃で種もなく、すっきりとした甘さが特徴で大人気の品種ですね。
温州蜜柑の主な産地は、和歌山県・愛媛県・静岡県・熊本県など関東以南の温暖な地域に多いです。
みかんの歴史
江戸時代までは「みかん」といえば「キシュウミカン」という別の品種のことを指しました。しかしキシュウミカンは小ぶりで酸味が強く種があるなどのマイナス面もあり、明治頃からは甘く種がない温州蜜柑に取って代わられました。
この「温州」という名前は、柑橘類の名産地であった中国の浙江省温州に由来しています。
しかし温州蜜柑の原産地は実は鹿児島と言われており、約400年前頃偶然生まれた品種であると言われています。
また日本において戦後から70年代初期までみかんは大量に生産され生産過剰状態でしたが、グレープフルーツやオレンジの輸入拡大によってみかんの栽培面積は激減してしまいました。
みかんの種類
温州蜜柑は収穫される時期によって下記の種類に分けられています。
・9月から10月に出荷「極早生(ごくわせ)温州」、酸味がやや強く果皮に青みがある
・10月下旬から12月に出荷「早生(わせ)温州」、酸味と甘味のバランスが良く果皮はほぼオレンジ色
・11月下旬から12月下旬に出荷「中生(なかて)温州」「普通温州」、酸味が少なく甘みが強い、果皮は濃いオレンジ色
・12月下旬から3月に出荷「晩生(おくて)温州」、一ヶ月ほど貯蔵して甘味を強くしてから出荷される
またこれ以外にも、「ハウスみかん」という種もあり、温室栽培されているので価格は高めですが5月から9月頃でも市場に出回っています。
オレンジ・ぽんかん・いよかんなどのミカン属の仲間


「みかん」の次はオレンジ・ぽんかん・いよかん・デコポンなどの類似種の紹介です。
これらは上記で説明したように全てミカン科ミカン属の仲間です。
オレンジとは

オレンジとはミカン科ミカン属の柑橘類で、原産地はインドのアッサム地方と言われています。
オレンジジュースなどに使われていることが多いですね。
Orangeという英語を日本語訳する時にみかんとする場合もありますが、前述の通り同じミカン属でも別の品種の柑橘類です。
日本では明治時代に導入されましたが、現在国内で流通しているものの大半はアメリカのカリフォルニア産です。
和達たちが「オレンジ」と言った場合、大体はネーブルオレンジかバレンシアオレンジを指すことが多いです。またブラッドオレンジという名前の通り果肉が血のように赤い品種もあります。
ぽんかんとは
ポンカンはミカン科ミカン属の柑橘類で、原産地はインドのスンタラ地方と言われています。
東南アジア、中国、台湾、日本などで主に栽培されておりますが、日本に流通しているものは台湾からの輸入品が多いです。
ぽんかんは温州蜜柑よりも濃厚な甘さがありますが、果肉の中に種が含まれます。
いよかんとは
いよかん(伊予柑)はミカン科ミカン属の柑橘類で、日本の在来種です。
温州蜜柑とオレンジとの交雑種とも、温州蜜柑とブンタン(様々な交雑種を生み出している柑橘類の一種)との交雑種とも言われており、1885年に山口県で発見され、主に愛媛県松山市で栽培が広がりました。
現在も生産量の殆どは愛媛県であり、いよかんの伊予も愛媛県の旧名である伊予国から来ています。
いよかんは爽やかな甘さと酸味があり、料理のなどにも使うことが出来ますが、温州蜜柑と比べると皮が厚く剥きづらくもあります。
デコポンとは
デコポンに関しては上記の3種類とは違い、品種名と言うよりは登録商標と言ったほうが正しいです。
本来の品種名はミカン科ミカン属の柑橘類で「不知火(シラヌヒ)」といい、「清見」品種とポンカンの交配によって作られた品種です。
ちなみに「清見(きよみ)」は温州蜜柑とトロビタオレンジの交配種で、日本最初のタンゴール(蜜柑とオレンジの交雑種)です。
話を戻すと、不知火の中でも、糖度13度以上、酸度1度以下という条件をクリアしたものだけが「デコポン」という名前を名乗ることが出来ます。
デコポン(不知火)は名前の通り、コブのようなものが突き出ており独特の外見をしていますね。
またデコポンの条件を見れば分かる通り、デコポンを名乗る以上一定以上の甘さと酸味の少なさがあるので、「あたり」「はずれ」が少ない種とも言えます。
キンカンはみかんの仲間ではない?


でも近年の研究ではまたミカン属に戻る可能性もあるらしいよ。
キンカンはミカン科キンカン属に所属しており、上で紹介したミカン属とは違う系統になります。
原産は中国で、日本では宮崎県や鹿児島で主に生産されています。
果肉は酸味が強く、皮は甘味と苦味を併せ持っており、皮も生食されます。
キンカンは古来より咳や喉の痛みにも効果があると知られている他、皮にはヘスペリジンというポリフェノールが含まれており血管の健康や抗酸化作用、抗アレルギー作用、発がん性抑制などの優れた効果があります。
同じく喉に優しいはちみつと混ぜた「はちみつキンカンのど飴」という商品も有名ですね。
残りのカラタチ属ってなに?


ミカン科にはミカン属・キンカン属・カラタチ属があると言いましたが、カラタチとは何なのでしょうか?
カラタチの原産地は中国であり日本には8世紀頃には伝わっていました。
カラタチは基本的に食用にはされずに、棘があることから生垣(いけがき)などにも使われていましたが、現在はあまり使われてはいないようです。
また温州蜜柑やその他の柑橘類を育てる際の台木(カラタチの木を下に、ミカンなどの木を上に接ぎ木にして合体させる手法、より早く収穫できる)にも使われています。
まとめ



