
全盛期は100店舗を超え、飛ぶ鳥を落とす勢いで牛丼チェーン業界を席巻した「東京チカラめし」。
閉店ラッシュの理由には「急拡大しすぎて人材の育成が間に合わなかった」「商品を提供するのに時間がかかりすぎた」「味が不味くなった」「ブームが終わって飽きられた」など様々な原因が囁かれています。
ANSWER
いきなり現れていきなり消えた「東京チカラめし」


2011年頃から、主に関東地方のいたるところに現れた「東京チカラめし」という牛丼屋を覚えてるでしょうか?
一時期は吉野家・松屋・すき家などの御三家にも匹敵するくらい、色々な場所で見かけた東京チカラめしですが、ある時を境に急に見かけなくなりました。
あの牛丼チェーンはなぜ急に消えてしまったのでしょうか?
東京チカラめしとは?


焼き牛丼という他にはない持ち味があって、全盛期はかなりの店舗数があったよ。
「東京チカラめし」とは三光マーケティングフーズが運営する、牛丼を主力とする飲食チェーンです。
同社が運営する飲食店には「金の蔵」「月の雫」「東方見聞録」などの有名なチェーンもあり、本格的に牛丼業界に参入し発足したのが「東京チカラめし」でした。
2011年6月9日に1号店を開業してから、またたく間に急成長し、2012年9月11日には累計で100店舗を達成するなど、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いの牛丼屋でしたね。
主力メニューは「焼き牛丼」で、他の大半の牛丼チェーンは煮込んだ牛肉をご飯に乗せるのに対して、東京チカラめしには焼いた牛肉にタレをかけてご飯に乗せ提供するという独自性がありました。
味がこってりしすぎてる感もあった気もしますが、やはり他の牛丼屋にはない良さがあったので爆発的に人気が出たんでしょう。
当時運営会社の社長は数年で1000店舗まで増やすと豪語したようですが、しかし2013年頃から次第にチカラめしブームは陰りを見せるようになり、閉店する店舗も増え始めました。
2019年現在ではわずか全国で8店舗まで規模が縮小してしまいました。こんなに少なくなっては、見かけるのも難しいですよね。
なぜ閉店ラッシュするはめになったのか


わずか数年で100店舗以上が閉店するのは、よほどの理由がないとありえないでしょう。
そんな閉店ラッシュの理由として語られているものをいくつか紹介してみます。
急拡大しすぎて人材の育成が間に合わなかった
吉野家・松屋・すき家などの大手に挑もうとするあまり、チカラめしは急速に店舗を拡大しすぎました。
それには様々な弊害が発生しますが、第一は人材の育成が規模の拡大に追いつかなかったことでしょう。
牛丼チェーンを展開するにはただアルバイトを集めるだけではどうにもなりませんよね。そのアルバイトが外国人ばかりなら尚更です。店長クラスやエリアマネージャークラスの人材はそう簡単には育ちません。
他の大手牛丼屋のアルバイト店員が外国人だらけだったとしても機能しているのは、そういったアルバイトを指導・育成するノウハウを持った人材が多くいるからでしょう。
そういった人材がいないのに、外国人ばかりの店員を集めたとしても、顧客の満足度を高めるのは難しいでしょう。
顧客の回転率が悪かった
他の大手牛丼チェーンは、顧客に商品を提供するスピードにも相当なこだわりを持っているのは牛丼屋に行ってみれば分かると思います。
複雑な工程が必要な定食物ならともかく、「牛丼」を注文したらかなりの速さでテーブルに持ってきてくれます。
しかしチカラめしの主力メニューは「焼き牛丼」です。ただ鍋からすくうだけではなく、肉を焼かなければならないので、どうしても提供するのに時間がかかります。
提供に時間がかかれば、自ずと一人の顧客が店舗にいる時間が増えますよね?
基本的に牛丼チェーンは薄利多売で利益を出すスタイルです。牛丼並を1杯売ったところで、様々な材料費・人件費を差っ引けば100円も儲けがでるのか怪しいところなので、どんどんと新しい客を店内に呼び込まないといけません。
いちいち牛丼を提供するのに10分も20分も待たせていては、顧客の回転率が稼げないので、牛丼で利益を出すのは難しいのです。
肝心の顧客満足度・サービスを軽視してしまった
上の2つの理由に起因していますが、急速な拡大で飲食店に一番必要な顧客満足度やサービスを軽視してしまったのも、不振の原因でしょう。
チカラめしに通っていた人なら分かると思いますが、当時のアルバイト店員の質は他の牛丼店と比べても目に見えて悪かったものです。
基本的に時給で雇われているアルバイトは、注意をされない限りは手を抜くものです、どう働こうが給料が変わらないなら当たり前ですが。
そんなやる気のないアルバイトが店内清掃を頑張るわけもないので、店内は汚い印象が否めませんでした。
そういうアルバイトを注意したり指導する層を育成・用意できなかったのもサービス低下の原因でしょう。
そして、もう一つの理由は味の劣化でしょう。あるときいきなりチカラめしの牛丼が不味くなったのを覚えています。
明らかに肉もボソボソになって、なんだこれはという感じでしたが、あれはどうやら材料費の高騰などが理由だったようです。
牛丼チェーンは体力のある大手でもない限りは、あの値段設定で戦っていくのはとても難しいことなのでしょうね。
東京チカラめしは今どうなっている?


失敗の反省を生かして、他の大手牛丼屋にはない新たな強みを作ろうとしているみたいだね。
東京チカラめしは現在も店舗を展開していますが、2019年現在全国でもたったの8店舗しかありません。
具体的には東京に3店舗、千葉に3店舗、大阪に2店舗といった感じで、気軽に行くには少なすぎますね。
現在は焼き牛丼が「元祖焼き牛丼」という名前になってますが、価格競争で他の牛丼屋と争うのをやめたようで、並盛りでも450円となってます。
さらに定食のご飯おかわり自由などで、がっつり食べたい人へのニーズも狙って他の牛丼チェーンとの差別化も図っているようです。
東京チカラめしが復活する可能性は?


以前の失敗の理由は、他のチェーンとの価格競争に参入してしまったこと、急速に店舗を広げることを重視しすぎたことなどがありますが、現在はそういった路線ではないようです。
焼き牛丼も他社と比べて値段も高いですが、やはり価格で戦おうとすると大手にはかないませんので、味重視の姿勢は悪くないと思います。
メニューを見るとものすごくコッテリしてそうな感じですが、美味しそうではあるし、ボリュームもありそうなので、この量と味重視の路線を極めて堅実な経営をしていけばまた復活しそうな気もします。
まとめ



